カバーアルバムで歌い継がれる80年代アイドルの名曲

80年代のアイドルの楽曲というのはある種なんでもアリのジャンルでした。 テクノの要素を取り入れたテクノ歌謡(キララとウララ「センチメタルボーイ」)や、海外の大物プロデューサーが手掛けた洋楽にかなり寄せているアイドルの枠では語りきれない楽曲 (クィーンのブライアン・メイ×本田美奈子 / ナラダ・マイケル・ウォルデン×荻野目洋子など)、サンプリングを多用したた実験作(堀ちえみ「Wa・ショイ」)、ラテンやサンバといった異国情緒感じる作品(中森明菜「ミ・アモーレ」)から日本の伝統的な音頭(酒井法子「のりピー音頭」)を取り入れた楽曲など。

キララとウララ
センチ・メタルボーイ
(1984年)
本田美奈子
CRAZY NIGHTS
(1987年)
ミ・アモーレ
中森明菜
(1985年)


80年代前半は70年代からの曲作りの手法による筒美京平や船山基紀、後藤次利、林哲司などの職業作曲家が起用されることが多かったのですが、80年代の半ば頃から松任谷由実、竹内まりや、中島みゆきといったシンガーソングライターに依頼して楽曲を制作していくアイドルも増え始めます。

上記の3人以外にも
大滝詠一、井上陽水、玉置浩二、矢野顕子、EPO、尾崎亜美、久保田利伸、角松敏生、小室哲哉、白井良明、鈴木慶一、坂本龍一、高見沢俊彦、中原めいこ、松山千春 etc

この頃をきっかけにアイドル歌謡曲はバラエティに富んだ「アイドル歌謡」とは一括りにできないジャンルとなったのです。

職業作家やシンガーソングライターの手によって手掛けられた曲の中には今なお歌い継がれている名曲が多く存在します。今回はアイドルに提供した曲をセルフカバーしたアルバム、80年代アイドルの楽曲を選曲したカバーアルバムをご紹介していきます。

参考データ

中島みゆき・竹内まりや・松任谷由実の3人から楽曲提供されているのは「薬師丸ひろ子」のみ(だと思う)

松任谷由実・中島みゆきの2人から楽曲提供されているのは「松本典子」

松任谷由実・竹内まりやの2人から楽曲提供されているのは「松田聖子」

3人のいずれからも楽曲提供を受けていないのは「中森明菜」「小泉今日子」など

セルフカバー

玉置浩二

安全地帯のボーカル。歌唱力には定評があり、男性ボーカリストの歌唱力アンケートや投票では上位にランクインする常連である。80年代のアイドル歌手にも多数提供しており、奥田圭子、荻野目洋子、中森明菜、松田聖子、伊藤麻衣子、堀ちえみ、斉藤由貴など。

アイドルではないが演歌歌手の香西かおりに提供した「無言坂」は'93年のレコード大賞受賞曲である。

'12年にリリースされた『Offer Music Box』は他の歌手に提供したセルフカバーであり、斉藤由貴「悲しみよこんにちは」、中森明菜「サザン・ウィンド」、川越美和「夢だけみてる」などの80年代アイドルへの提供曲も収録されています。

竹内まりや

「SEPTEMBER」「不思議なピーチパイ」などのヒット曲多数。岡田有希子のデビューシングルから3作続けて手掛けたのをはじめアイドルへの楽曲提供は実績がありヒット曲も多く生まれている。

中山美穂「色・ホワイトブレンド」、河合奈保子「けんかをやめて」、薬師丸ひろ子「元気を出して」、中森明菜「駅」など。

'19年に発売された「Turntable」はベスト盤でありセルフカバーアルバムではないのだが、竹内まりやが提供した楽曲のセルフカバーが数曲収録されているためご紹介しておきたい。

収録されているアイドルの曲は「OH NO, OH YES!」(中森明菜)、「ミラクル・ラブ」(牧瀬里穂)、「トライアングル」(薬師丸ひろ子)、「ファースト・デイト」「恋、はじめまして」「憧れ」(岡田有希子)、「夏のイントロ」(福永恵規 / おニャン子クラブ)、「MajiでKoiする5秒前」(広末涼子)、「声だけ聞かせて」(松田聖子)

残念ながらSpotifyでは配信されていないため、代わりに『Expressions』を貼っておきます。こちらは河合奈保子「けんかをやめて」、薬師丸ひろ子「元気を出して」、中森明菜「駅」、中山美穂「色ホワイトブレンド」のセルフカバーが収録されています。

松任谷由実

1970年代から活躍するシンガーソングライター。「ルージュの伝言」「やさしさに包まれたなら」「守ってあげたい」「春よ、来い」などのヒット曲多数。楽曲提供も数多くこなしており、バンバン「『いちご白書』をもう一度」、小林麻美「雨音はショパンの調べ」(訳詞)などの大ヒット曲も多数。


アイドルへは松田聖子へ多数提供しているのをはじめ西村知美、白石まるみ、薬師丸ひろ子、山瀬まみ、原田知世など。


今回紹介する『Yuming Compositions: FACES』はセルフカバーアルバムであり、松田聖子「瞳はダイアモンド」、薬師丸ひろ子「Woman "Wの悲劇"より」のセルフカバーが収録されている。

中島みゆき

1970 - 2000年代の4つの年代にかけてシングルヒットチャート1位を獲得した唯一のシンガーソングライター。

アイドルへの代表的な提供曲は柏原芳恵の「春なのに」、工藤静香の「慟哭」など。

Spotifyではシングルのみしか配信されていないためプレイヤーをリンクさせることができませんが紹介のみしておきます。

回帰熱|1989年|ポニーキャニオン
中島みゆきの17枚目のアルバム、3作目のセルフカバー作品

「黄砂に吹かれて」「群衆」は工藤静香、「肩幅の未来」は長山洋子、「ロンリー カナリア」「春なのに」は柏原芳恵、「儀式(セレモニー)」は松本典子、「未完成」は薬師丸ひろ子。

尾崎亜美

1970年代から活躍するシンガーソングライター。代表曲は'77年に資生堂のCMソングとして起用された「マイ・ピュア・レディ」

彼女もアイドルへ提供している楽曲が非常に多く、松本典子、堀ちえみ、松本伊代、中森明菜、志村香、岡田有希子、光GENJI、河合奈保子など枚挙に暇がない。

なかでも代表曲とも言えるのは観月ありさのデビュー曲「伝説の少女」と松田聖子の「天使のウィンク」あたりだろうか。

今回ご紹介する「POINT-2」は1986年にリリースされたセルフカバーアルバム。収録されているのは志村香「曇りのち晴れ」、松田聖子「ボーイの季節」「夏の幻影」、岡田有希子「Summer Beach」、松本伊代「恋のKNOW-HOW」「時に愛は」、河合奈保子「微風のメロディー」

中原めいこ

'84年「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね」が大ヒットし一躍有名になる。キャッチーなメロディが特徴でインパクトが強い作品が多い。

提供楽曲が多い方ではないもののどれも個性的な作品に仕上がっている。アイドルへの提供は早見優が一番多く、シングル曲だと「PASSION」「Caribbean Night」など。

その他伊藤智恵理、少女隊、若林加奈、西村知美、つちやかおりなど。セルフカバーアルバムとしてはリリースしていなのだがオリジナルアルバムにセルフカバー楽曲を収録している。

MOGA -Best Collection-|1986年

早見優に提供した「PASSION」を新録して収録。

井上陽水

'69年にデビューして未だ現役のシンガーソングライター。'73年に発売したアルバム「氷の世界」は日本のレコードランキングチャートで初となるミリオンセラータイトルである。

アイドル歌手への楽曲提供も積極的に行っており、柏原芳恵、薬師丸ひろ子、荻野目洋子、小泉今日子、三田寛子、武田久美子など。

今回紹介する『9.5カラット』はセルフカバーアルバムであり、井上にとって2作目のミリオンセラーアルバムである。最も有名な提供曲であろう中森明菜の「飾りじゃないのよ涙は」が収録されている。

奥田民生

'87年にロックバンド『ユニコーン』のボーカリストとしてデビュー。「大迷惑」「すばらしい日々」などのヒット曲多数。

プロデュースとして最も有名で成功したのは『PUFFY』。アイドルへの楽曲提供は小泉今日子、山瀬まみ、芳賀ゆい、中山忍など。

アイドルへの提供曲でセルフカバーした楽曲は小泉今日子の「月ひとしずく」(井上陽水奥田民生名義のアルバム『ショッピング』収録)以外ないかもしれない。

中山忍へ提供した「光のオペラ」のBメロ・サビ・・歌詞・アレンジが変えられた「ボサノバ父さん」という曲がアルバム『おどる亀ヤプシ』に収録されている。

オリジナル楽曲である中山忍の「光のオペラ」がこちら。あまりにも残念な歌唱力。最初から最後まで声が上擦っているのだ。一言で伝えるのであれば音痴である。ちなみに歌手で女優の中山美穂は実姉。

来生たかお

姉の来生えつこが歌詞を担当しコンビとして楽曲を提供するパターンが多かった。メジャーなアイドルで彼等の作品を歌ってない人物を探すほうが難しいほどである。

浅香唯、五十嵐いづみ、伊藤麻衣子、Wink、岩崎良美、宇沙美ゆかり、風間三姉妹、柏原芳恵、河合奈保子、工藤夕貴、桑田靖子、斉藤由貴、酒井法子、坂上香織、佐野量子、シブがき隊、島田奈美、吹田明日香、田原俊彦、田山真美子、中森明菜、中山美穂、西村知美、姫乃樹リカ、原田知世、藤谷美紀、松田聖子、松本典子、南野陽子、守谷香、八木さおり、薬師丸ひろ子、山瀬まみ など

薬師丸ひろ子の『セーラー服と機関銃』のヒットで脚光を浴び『セカンド・ラブ』をはじめとする中森明菜へ提供した楽曲が大ヒットしたことでその地位を確固たるものにした。

夢より遠くへ|1990年

「夢の途中」(薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」)、「セカンド・ラブ」「スローモーション」(中森明菜)、語りつぐ愛に(薬師丸ひろ子)

こちらもSpotifyでは未配信

角松敏生

フュージョンに近いアレンジが特徴で知っている人が聴けば一発で「角松敏生作品」だとわかるぐらいいい意味でワンパターンな作風。

坂上香織、勇直子(ユーロビートカバーの編曲担当)、西城秀樹、中森明菜、米光美保(from 東京パフォーマンスドール)、岩崎宏美などアイドルにも多数楽曲を提供している。

中でも個人的に相性が良かったと思うのが中山美穂。彼女のバラード曲「You're My Only Shinin' Star」やダンサブルな「CATCH ME」などは出色の出来だと思う。

The gentle sex|2000年

中森明菜「UNSTEADY LOVE」、米光美保(東京パフォーマンスドール)「Bless Myself」、中山美穂「花瓶」「You're My Only Shinin' Star」のセルフカバーを収録。

残念ながらこちらもSpotifyでは未配信

小室哲哉

90年代半ばに"小室ブーム"が起こり、ヒットチャートの上位には彼がプロデュースしたタイトルが常にランクインする社会現象とまでなったことを覚えている方も多いのではないだろうか。

そんな彼がアイドルに楽曲を提供し始めたのは'80年代中盤からであり、しかもかなりの人数に上る。リストアップすると

岡田有希子、福永恵規(おニャン子クラブ)、岩崎良美、原田知世、荻野目洋子、大西結花、松田聖子、八木さおり、中山美穂、伊藤かずえ、中森明菜、小泉今日子、田中美奈子、東京パフォーマンスドール、観月ありさ、内田有紀、杉浦幸、堀ちえみ、宮沢りえ、中山忍など

'86年に発売された渡辺美里の「My Revolution」が大ヒットとなり作曲家として注目され依頼が殺到したそうである。

ちなみに「不良少女とよばれて」をはじめとする大映ドラマに出演していたアイドル「伊藤かずえ」は歌ではセールスがまったく伸びず、すがる思いで小室に曲を発注して発売したが、小室哲哉の力を持ってしても週間売上100位以内にすらチャートインしないという見るも無惨な結果に終わる。事務所としても「小室哲哉を使って売れなければどうやっても無理」と判断したのか小室が手掛けた「星屑のイノセンス」が彼女にとって最後のレコードとなった。タイトルどおり星屑である。

Hit Factory|1992年
堀ちえみ「愛を今信じていたい」、小泉今日子「Good Morning-Call」、中山美穂「50/50」、観月ありさ「TOO SHY SHY BOY!」、松田聖子「Kimono Beat」のセルフカバーを収録

Gary Moore

泣きのギター、孤高のギタリストとの異名をもつゲイリー・ムーア。ジャンルはハードロックやメタル。ソチ五輪フィギュアスケートで羽生結弦が優勝した時に使われていたのが彼の「パリの散歩道」という曲でした。

そんな"ギタークレイジー"と呼ばれる彼に楽曲を提供されるアイドルが登場します

「1986年のマリリン」('86)という代表曲を持つ実力派アイドル『本田美奈子』です。彼女はゲイリー・ムーアのみならずクィーンのブライアン・メイのプロデュースで日本とUK国内向けの12"シングルをリリースします。

「the Cross -愛の十字架-」はゲイリー自身もレコーディングを行い、1987年に発売されたアルバム『Wild Frontier』のCD版のみにボーナス・トラックとしてタイトルを「Crying in the Shadows」と変えて収録されました。

セルフカバー (リファイン)

自分の楽曲をアレンジを変えて改めてボーカルを録音しなおしたアルバムをリファインと呼称することがあります。リメイクに近いですね。 30~40年前の楽曲を今の音色と年齢を重ねていろんな経験を重ねたアイドル自身の解釈で、昔からのファンの人に向けてリリースされた作品をご紹介します。

南野陽子

情景が思い浮かぶ歌詞が多いのが南野陽子の楽曲。アイドル界のユーミン的なポジション。 そしてその世界観を最大限に表現していたのが編曲家「萩田光雄」のアレンジ。 このセルフカバーでも全曲萩田がアレンジを担当している。

ヒットチャート1位を獲得した楽曲の多くを再構築して収録されたセルフカバーアルバム。

ReFined-Songs Collection?NANNO 25th Anniversary|2011年

斉藤由貴

'84年にCMで鮮烈デビュー。翌年、歌手デビュー曲として発売した「卒業」が35万枚に上る大ヒット。3作品続いたシリーズ「スケバン刑事」('85)の初代主役をはじめ、NHK連続テレビ小説「はね駒」('86)でも主役を務め国民的アイドルへ一気に駆け上がった。

'21年にリリースされたセルフカバーアルバムはアイドル時代に編曲を手掛けていた武部聡志が全面的にプロデュースを担当。

水響曲|2021年

菊池桃子

'84年は菊池桃子と岡田有希子という2大ビッグアイドルがデビューした年である。(荻野目洋子も'84年デビューだが、彼女が本格的にブレイクしたのは'86年。)

菊池桃子は雰囲気や佇まいすべてがアイドルなのだ。その愛らしさはは年を重ねたいまでも変わらない。

当時のアイドルは毎年開かれる賞レースでの「新人賞」を獲ることを目指してレコードを発売していたのだが、彼女は賞レースには一切参加していなかった。

おそらく事務所の方針だったのではないかと思われる。もちろんすべての新人アイドルが目指していた「日本レコード大賞」も辞退したのだが、これは当時としてはかなり珍しいことである。

(翌'85年にデビューする「中山美穂」も新人賞を辞退していたが、レコード大賞だけは参加して『最優秀新人賞』を獲っている)

辞退にあたって彼女が出したコメントが

「桃子よくわからない」

これが本当のエピソードかどうかは定かではないが菊池桃子ならば言いそうである。

'14年にデビュー曲の「青春のいじわる」から9thシングル「Say Yes!」までをセルフカバーしたアルバムを出している。

青春ラブレター|2014年 (Spotify未配信)

中森明菜

レコード会社ワーナー所属時のヒット曲を中心にセルフカバーしたアルバム。ビッグバンド、サルサ等原曲とは大きくかけ離れた思い切ったアレンジを施した作品。

個人的には原曲の方が好きなのでこのアルバムはあまり聴き込んでいない。

Akina Nakamori?歌姫ダブル・ディケイド|2002年

荻野目洋子

「ダンシング・ヒーロー」や「六本木純情派」といった自身のヒット曲と洋楽カバーが混在したカバーアルバム。ボーナストラックに'10年代以降主流になっているEDM感満載の「ダンシング・ヒーロー」のリミックスが収録されている。

Dear Pop Singer.|2014年

工藤静香

おニャン子クラブ出身で現在まで活躍しているメンバーと言えば女優の国生さゆり、タレントの渡辺満里奈、演歌歌手の城之内早苗、そして一番の出世頭であるこの工藤静香。

実はおニャン子以前に3人組のユニットとしてデビューしていた(メンバーのうち一人は野球選手の清原の元奥様)経歴があり、セミプロとしておニャン子に加入したという経緯をもつ芸能界の酸いの部分を体感している苦労人だったりする。

'80年代から90年代初頭の曲は今聞くと古い感じがするのは当然なのだが、その古い音を聴くと同時に当時の時代感というか時代特有の空気も蘇ってくるから一概に古い=悪いことではないと思うのだ。

工藤静香に限らず歌い直してアレンジをイマドキに変えて再構築されている音楽がオリジナルを超えられないと思うのはそういうところに拠るものが大きいのではないかと個人的に感じることがままある。

感受 Shizuka Kudo 35th Anniversary self-cover album|2022年

早見優

収録曲数だけ見ると6曲と少なく感じてしまうが聴いた後の満足感が非常に高いセルフカバーアルバム。'80年代アイドルに造詣が深い藤井隆をプロデューサーとして起用しているだけに壺を抑えた収録曲やアレンジに仕上がっており再構築のお手本にしてほしい名盤。

Delicacy of Love|2016年

セイントフォー

GSバンド((グループサウンズ))で活躍していた加瀬邦彦がプロデュースしたキワモノアイドル「セイントフォー」

数億円のプロモーション費用を掛けて鳴り物入りでデビューした。彼女たちの特徴と言えば曲の前奏や間奏にアクロバティックなパフォーマンスを行うことだ。

バク転ならばいざ知らず、バク宙を披露したアイドルは「セイントフォー」と「太陽とシスコムーン」以外には思い浮かばない。(太陽と~の信田美帆はオリンピック経験者でいわばプロである。)

完全な出オチ 放送事故である
セイントフォー / 太陽を抱きしめろ ('85)

大人のいざこざに巻き込まれシングル4枚を発売した後に解散。声優の岩男潤子(エヴァンゲリオンの鈴原トウジの妹役など)が一時加入していた。

そんなカルトアイドルが2018年に4人のメンバーのうち3人が集まりボーカル・アレンジを変えたセルフカバーアルバムを発売する。全員集まらなかったところに闇を感じる。

同時に当時の全楽曲+未発表曲が収録されたコンプリートベストも同時発売されている。正直こちらの方がおすすめ。(セイントフォーのCDは出荷数が少なく80年代に発売されているものは1枚2~3万円のプレミア価格が付いていた)

時空の旅人|2018年

カバーアルバム

1970代以前はシングルレコードが主流でアルバムをしっかり作り込むという概念がなかったと思います。

宇多田ヒカルの母親、藤圭子のファースト・アルバム『新宿の女/“演歌の星”藤圭子のすべて』('70)の収録曲12曲のうち8曲がカバー曲で構成されています。歌謡曲や演歌の世界ではこの傾向が強かったと思います。

1970年代後半からニューミュージック系のアーティストがアルバムに力を入れ始めクォリティが上がっていきます。その流れがアイドル歌謡に押し寄せてくるのは80年代に入ってから。具体的には『松田聖子』がリリースしたアルバムからだと思います。

2002年、中森明菜が「-ZEROalbum- 歌姫2」、2005年、徳永英明が「VOCALIST」、2013年にMay J.が「Summer Ballad Covers」といった全曲がカバー曲で構成されたアルバムをリリース。

上に挙げたカバーアルバムはいずれもセールス的に好調でシリーズ化されています。これを受けてこぞってカバーアルバム・トリビュート・アルバムが発売されることとなります。

近年は日本のシティポップが世界で注目されていること、CDなどのメディア媒体ではなく配信・サブスクライブでの発売形態へ移行したということ、既存の楽曲を使用することで制作コストを抑えることができるといった点などがカバーアルバムが増える要因になっているのではないかと思います。

今回は「70~80年代アイドル歌謡曲」のカバーが収録されているアルバムに限定してご紹介していきます。星評価は個人的なおすすめ度 (1アーティスト1作品限定)

吉井和哉

ロックバンドTHE YELLOW MONKEYのボーカリスト。ピンク・レディー「ウォンテッド (指名手配)」、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」の原曲「夢の途中」、太田裕美「さらばシベリア鉄道」をカバー。

ヨシー・ファンクJr. ~此レガ原点!!~|2014年

Janet Kay

イギリス出身のレゲエ歌手。'91年にMinnie Ripertonの「Lovin' You」をレゲエアレンジでカバーしてブレイク。

こちらはアイドル歌謡曲をレゲエ風にアレンジ。松田聖子の「赤いスイートピー」、斉藤由貴の「夢の中へ」(原曲は井上陽水)、石川ひとみの「まちぶせ」(原曲は三木聖子)など定番曲からシブがき隊の「スシ食いねぇ!」、モーニング娘。の「LOVEマシーン」なんかの意外性がある選曲が面白い。

アイドルKAY|2012年

PUFFY

やる気がなさそうな気怠い感じで歌う女性2人組ユニット。奥田民生がプロデュース(作詞は井上陽水)したデビュー曲「アジアの純真」が大ヒット。

インディーズではあるが全米デビューも果たしており彼女たちをモデルにしたアニメーションも全米で放映されていた。

こちらのカバーアルバムには同じ女性デュオであるWinkのヒット曲「愛が止まらない」や田原俊彦「哀愁でいと」(原曲はLeif Garrett)、近藤真彦の「ハイティーン・ブギ」を収録。

THE HIT PARADE|2002年

デーモン閣下

ヘヴィメタルグループ"聖飢魔Ⅱ"のボーカリスト。決して相撲が詳しい変なメイクのおじさんではない。

歌唱力が高いということは一部界隈では昔から有名。 2007年からソロ名義で女性歌手の楽曲をカバーしたアルバム「GIRLS' ROCK」シリーズを展開。

このアルバムはシリーズに収録されたものからセレクト+新録2曲を追加したベスト盤。松田聖子「赤いスイートピー」、荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」、Wink「愛が止まらない」を収録。

GIRLS' ROCK Best|2010年

松本隆 トリビュート

松本隆の作詞活動50周年トリビュートアルバム。 45周年時にもトリビュート作品「風街であひませう」が発売されている。

風街とは松本隆が所属していた伝説のグループ「はっぴぃえんど」(細野晴臣 / 松本隆 / 大滝詠一 / 鈴木茂)の2ndアルバム「風街ろまん」にちなんだものだと思われる。

「古きよき日本・東京の姿」を「風街」という架空の街にみるというテーマだったそうだ。

アルバムに収録されているのは松田聖子「SWEET MEMORIES」、薬師丸ひろ子「Woman“Wの悲劇”より」、安田成美「風の谷のナウシカ」

風街に連れてって!|2021年

筒美京平 トリビュート

日本の歌謡曲を支えた第一人者。作曲作品の総売上枚数は約7,600万枚で歴代1位である。(2位の小室哲哉が約7,200万枚)

だからこそトリビュートに収録する曲選考が難航したであろうことは想像に難くない。

アイドル歌謡曲は意外にも少なめで80年代に限定すると斉藤由貴の「卒業」、少年隊「君だけに」だけである。70年代まで時代を広げると岩崎宏美「シンデレラ・ハネムーン」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」と4曲になるがそれでも少ない。

プロデューサーの一人として小西康陽がクレジットされてるだけで個人的な評価+1ポイントである。

筒美京平SONG BOOK|2021年

柴咲コウ

自分の中での柴咲コウのイメージは、映画「バトル・ロワイアル」で演じていた役を見て「こっわ」と思ったことと、女優で歌手の中谷美紀(桜っ子クラブさくら組)との見分けがつかないということだ。

収録されているのは中山美穂の「ただ泣きたくなるの」と工藤静香の「めちゃくちゃに泣いてしまいたい」

こううたう|2015年

柴田淳

まったく存じ上げない方だったのでWikipediaで調べてみると

ブログの歌姫


と呼ばれていたことしか書いていなかった。情報うっす。

他のカバーアルバムが原曲とは違ったイメージを出すために"歌うアーティスト"の個性が出せるようなアプローチを試みる中、彼女の場合は極力オリジナルに近づけるようにしている点がポイントです。

もちろんオリジナルを知っている人からすればオリジナルと比較することになりますし、彼女の歌で興味を持った方はネットでオリジナルの動画を見たり配信サイトでリスニングするのではないかと思います。

さらに、オリジナルを歌っている方々は歌唱力に定評がある人ばかりなんですよ。八神純子・渡辺真知子・久保田早紀・小坂明子・サーカス…

よほど自分に自信がなければこのスタイルで作品を出すことは難しいのではないかと感じます。 タイトルのとおり収録されているのは70年代のアイドルです。山口百恵「秋桜」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」の2曲です。

COVER 70's|2012年

德永英明

福岡出身で福岡市市政100周年の際には德永英明×ASKA(CHAGE and ASKA)による「心のボール」という楽曲が制作されていました。

80年代半ばから今に至るまで一線で活躍を続けているのは素晴らしいですね。2005年に1作目が発売されたカバーアルバム「VOCALIST」シリーズは全6作品で売上枚数総数は約600万枚に上るそうです。

今回はシリーズから「6」を選出。収録されているのは山口百恵「さよならの向う側」、薬師丸ひろ子「Woman "Wの悲劇"より」、松田聖子「風立ちぬ」、中森明菜「スローモーション」、キャンディーズ「やさしい悪魔」、柏原芳恵「春なのに」、原田知世「ダンデライオン」とアイドル歌謡曲の比率がかなり高め。

VOCALIST|2015年

堀ちえみ

'82年にデビュー。後に「花の82年組」と呼ばれるアイドル大豊作の世代。歌手と並行して出演した大映ドラマ「スチュワーデス物語」が最高視聴率27%に迫る大ヒット。「ドジでのろまな亀」などの劇中のセリフが当時の流行語になった。

'87年結婚を機に電撃引退。その後紆余曲折あり現在では子だくさんなおっ母さん(7人のお母さん!!)。

このカバーアルバムは同じ時代を戦い抜いたライバルの曲をカバーするという、ありそうでなかった企画。

収録曲は先輩にあたる石野真子「恋のハッピー・デート」、河合奈保子「夏のヒロイン」。

同じ"花の82年組" 小泉今日子「魔女」、早見優「渚のライオン」、松本伊代「抱きしめたい」、原田知世「ダンデライオン」

それから後輩である浅香唯「セシル」、斉藤由貴「青空のかけら」、南野陽子「話しかけたかった」、菊池桃子「夏色片想い」。

あえて松田聖子と中森明菜を選曲しないという点が個人的に面白いと感じた。

80's IDOL SONGS COLLECTION|2005年

山口百恵 トリビュート

70年代に活躍した伝説のアイドル『山口百恵』。デビューから引退後までの405週間連続でセールスチャートTOP100以内に登場し続けた記録保持者。

TOP10内に限定しても2006年に獲得週数をサザンオールスターズに抜かれるまで1位だったのが山口百恵である。(TOP10週=239週)

三浦友和と結婚引退してからはマスコミへの露出もほとんどなく、芸能界に復帰することもなくまさに「伝説」とされている。

そんな偉大なアイドルのトリビュート・アルバムがシリーズ化されており、全3作品が発売されている。今回紹介するのは3作目で過去2作からの収録+新録という構成になっている。

1曲目の「冬の色」に80年代アイドルの南野陽子がクレジットされており、実際に聴くまでは正直なところ不安でしかなかった。南野はお世辞にも歌唱力がある方ではないからだ。

個人的に南野のファンだからという贔屓目な点もあるかと思うが、それを差し引いてもかなりいい仕上がりになっていたことに驚いた。現役時代にタッグを組んでいた編曲家の萩田光雄がアレンジを担当していたのも理由のひとつだと思う。

他の歌唱アーティストは中村あゆみ、三原じゅん子(元アイドル・現政治家)、アン・ルイス、中森明菜、鬼束ちひろ、八神純子など

山口百恵トリビュート・セレクション|2012年

The Nolans

'80年に「ダンシング・シスター」を大ヒットさせたあの『ノーランズ』である。ノーランズで検索すると出てくるあのノーランズで間違っていない。

なにがきっかけでこの企画が通ったのか良くわからないが「ノーランズが日本のアイドルの歌を英語で歌った」カバーアルバムなのである。

収録曲は松田聖子「風立ちぬ」「天国のキッス」「渚のバルコニー」、Wink「淋しい熱帯魚」、中森明菜「DESIRE -情熱-」「飾りじゃないのよ涙は」、キャンディーズ「年下の男の子」「やさしい悪魔」「ハートのエースが出てこない」、荻野目洋子「六本木純情派」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、おニャン子クラブ「じゃあね」

英語で歌うだけで原曲とかなり雰囲気がかなり変わっている曲も多いし、収録している選曲が微妙に定番曲からずらしてる感じがニクい。

Tidal Wave|1991年

後藤輝基

お笑いタレント「フットボールアワー」のツッコミ担当。2003年のM-1グランプリにて優勝。

自宅にテレビがない自分でも知っている吉本の芸人さんですね。

'22年に同じ吉本興業の"藤井隆"プロデュースで80~90年代アイドルのカバーアルバムが作成されました。このブログの音楽の記事で毎回"藤井隆"の名前が出てきてるのは気のせいではありません。

少し前の音楽記事にも書きましたが"藤井隆"の80~90年代のアイドルに関する知識が半端ないのです。以前、彼がレギュラーを務めていた"Matthew's Best Hit TV"でアイドルのウンチクを語りだすとテンションが高くなっていく様を目の当たりにした方も多いはず。

そんな藤井隆がプロデュースした作品ですからそれは名盤ですよ。特に選曲に関しては「にわか」アイドルオタクではまず出て来ないラインナップ。

ボーカルを務めた後藤が唯一知っていた曲を「宝生舞のCarnival」と答えていたんですが、多分それ一般的な知名度は一番下ですよ…。

収録曲はWink「Cat-Walk Dancing」、宝生舞「Carnival」、福永恵規(おニャン子クラブ)「ハートのIgnition」、本田美奈子「悲しみSWING」、篠原涼子(東京パフォーマンスドール)「リズムとルール」

マカロワ|2022年

UA

1996年に発売された「情熱」「リズム」あたりが代表曲。R&Bというかソウルというか個性的な表現をするアーティスト。

UAにとっての歌のルーツが70~80年代の歌謡曲にあるそうだ。意外。

収録されているのはピンク・レディー「モンスター」、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」

KABA|2010年

稲垣潤一

個人的に最大のヒット曲は'82年にリリースされた「ドラマティック・レイン」だと思っていたのだが、調べてみると'92年にリリースされた「クリスマスキャロルの頃には」が170万枚以上の売上でこちらが代表曲だった。納得。

2008年から稲垣と女性ボーカリストとのデュエットを集めたカバーアルバム「男と女」シリーズが発売され、2015年までに計5作品発表された。

今回は1作目をご紹介。(Spotifyでは1と5のみ配信中のため)

松田聖子「あなたに逢いたくて ?Missing You?」、中森明菜「セカンド・ラブ」を収録。

男と女 -TWO HEARTS TWO VOICES-|2008年

岩崎宏美

「シンデレラ・ハネムーン」('78)、「すみれ色の涙」('81)、「聖母たちのララバイ」('82)などヒット曲を多数持つ実力派ボーカリスト。

2003年から「Dear Friends」と題したカバーアルバムシリーズを2019年までに8作品発表している。今回はその中から3作目をピックアップ。

収録されているのは薬師丸ひろ子「元気を出して」、本田美奈子「つばさ」

Dear Friends Ⅲ|2006年

上白石萌音

名前は聞いたことあります。姉妹で芸能活動をしてるというのも知ってます。が、何に出演されてたのか知らなかったので調べてみました。……

あの大ヒットアニメ映画『君の名は』(興行収入250億円!!)で主役の声を演じていたそうです。その他いろいろな賞を受賞されていて調べた限りかなり実力派の女優さんのようです。

その傍ら歌手活動もされているそうで、「あの歌」というカバーアルバムが2作発売されています。

選曲のラインナップを見る感じ、彼女のご両親が聴いていたんじゃないかなーという印象。 今回は2作目を選んでみました。

収録されているのは中山美穂「世界中の誰よりきっと」、原田知世「ダンデライオン」、斉藤由貴「AXIA ?かなしいことり?」、松田聖子「制服」、石川ひとみ「まちぶせ」

あの歌-2-|2021年

氣志團

自らのロックをパンク・ロックとヤンキーの融合「ヤンク・ロック」と提唱し、1980年代の不良を髣髴とさせるリーゼント&学ラン姿でインストバンドとして活動を開始した。

氣志團 - Wikipedia

紅白歌合戦に出場もしたことがあるのでグループ名ぐらいは知っていましたが、このカバーアルバムが出てなければ多分彼等の音楽を手にすることはなかったかもしれません。

タイトル"Oneway Generation"とは筒美京平が作曲した本田美奈子の代表曲「Oneway Generation」が由来となっています。

アルバムタイトル曲を含むすべてが筒美京平作曲の楽曲で構成されているのですが、詳しくないとなかなかでてこないであろう選曲と、原曲の持っている良さを活かしつつ彼等の演奏スタイルに合わせたアレンジを施していて本当に筒美京平のことが好きなんだというリスペクトが伝わってくる名盤となっています。

収録楽曲は早見優「夏色のナンシー」、小泉今日子「迷宮のアンドローラ」、荻野目洋子「さよならの果実たち」、本田美奈子「Oneway Generation」

Oneway Generation|2021年

片瀬那奈

闇金ウシジマくんは見ていたので知ってます。女優さんです。そして、プライベートがいろいろ怪しい人です。周りの人が次々逮捕されています、危険!!

音楽活動もしていたようで、2000年代特有のキンキンした打ち込みEDMをバックトラックにしてカラオケを歌ってる感覚ぐらいのボーカルが乗っている全曲80年代アイドルの曲をカバーしたアルバムが1作出ています。

収録曲は中森明菜「ミ・アモーレ」「TANGO NOIR」、Wink「淋しい熱帯魚」、松田聖子「Rock'n Rouge」、浅香唯「C-Girl」、工藤静香「禁断のテレパシー」、小泉今日子「木枯しに抱かれて」

EXTENDED|2004年

華原朋美

(いろんな意味で)小室ファミリーの一員だった華原朋美。ミリオンヒットを連発していたものの小室哲哉の手を離れると一気にスターダムの座を失いしばらくは迷走状態が続く。

カバーアルバムは3作品リリースされており、今回紹介するのは1作目。収録曲のラインナップを見るにスタッフ等がピックアップしたものではなく華原自身が選曲したのではないかと推測できる。工藤静香の曲の中から「千流の雫」を選ぶ人はそうそういない。

最盛期のような完成度ではないものの、同じ「小室ファミリー」の曲では相性の良さを感じられるし、工藤静香のカバーも悪くない。

収録曲は篠原涼子 with t.komuro「恋しさと せつなさと 心強さと」(東京パフォーマンスドール)、工藤静香「千流の雫」(おニャン子クラブ)、中山美穂「You're My Only Shinin' Star」

MEMORIES -Kahara Covers-|2014年

福山雅治

男前で美声。個人的にタイプじゃないけれど♂のフェロモンをすごく感じる。色っぽいのだ。古いけどジュリー(沢田研二)なんかに近いのかもしれない。

しかし、そんないい男にも弱点があることを知っている。綺麗な奥様がいらっしゃるのだが……

すっごい音痴


である……。 それぐらいしか思い浮かばないほどいい男なのだ。

カバーアルバムとしては「The Golden Oldies」と「魂リク」という2作品をリリースしている。個人的には山口百恵「秋桜」、中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」が収録されている「The Golden~」の方を紹介したかったのだが、あいにくSpotifyでの配信はされていないようである。残念。

とても良いカバーに仕上がっているので興味がある方はレンタルor購入してみてください。

The Golden Oldies|2002年

www.universal-music.co.jp

Ms.OOJA

2011年に28歳でデビューしたシンガーソングライター。「遅咲きの歌姫」の異名を持つそうだ。

シングルCDをリリースする際にはC/Wには必ずカバー曲を収録するというスタイルを続けていたようだ。(2017年以降はCDからダウンロードへと販売形態が移行したため2016年が最後となっている。)

2012年に「WOMAN -Love Song Covers-」を皮切りに2022年までの10年間で7枚のカバーアルバムを発表している。

今回は'22年の9月に発売された最新作を紹介してみたい。

収録曲は荻野目洋子「六本木純情派」、小泉今日子「木枯しに抱かれて」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」、松田聖子「瑠璃色の地球」

流しのOOJA 2 ?VINTAGE SONG COVERS?|2022年

ベッド・イン

公式サイトによると「90年代バブル期のオイニーを撒き散らす地下セクシーアイドルユニット」だそうだ。

ワンレン・ボディコン・ソバージュ・ジュリ扇を身に着けており、今の価値観を鑑みるに下品の極みとも言える彼女たちの姿を見ると本当に今が令和なのか確信が持てなくなる。

♀であることを最大限にアピールしてくるその姿勢はフェミニズムの思想が定着しつつある現代に対しての抵抗なのかそれとも反乱なのであろうか。おそらくただの露出狂なのだと思う。

カバーに関しては意外としっかりした音作りがされているのだが、二人が歌うとスナックのママとチーママがカラオケで歌ってるようにしか聴こえてこないのだ。

収録曲は工藤静香(おニャン子クラブ)「嵐の素顔」、Wink「Sexy Music」

Endless Bubble ~Cover Songs vol.1~|2019年

米倉利紀

'92年デビュー。大ヒットと呼べる作品はないのですが、個人的には「きっとできない じっとしない」('93)のイメージ。

今回は彼にとって2作目のカバーアルバムをご紹介。松田聖子「瑠璃色の地球」を収録

うたびと|2015年

宮本浩次

'88年にエレファントカシマシのボーカルとしてデビュー。小学生時代には合唱団に所属していたそうだ。

幼少期にはクラシックの他に流行歌・歌謡曲を好んで聴いていたそうで、その影響がカバーアルバムの選曲に見て取れる。

第1弾のカバーアルバムが2020年にリリースされると宮本にとって初のアルバムヒットチャート1位を獲得しただけでなく、ゴールドディスク大賞の企画部門でのアルバム・オブ・ザ・イヤー、第71回芸術選奨 文部科学大臣賞と高評価を得る。

それを受けて2022年に第2弾となる「秋の日に」がリリースされた。1作目では松田聖子の楽曲が2曲、2作目では中森明菜の楽曲が2曲収録されている。

どちらにするか迷ったのだが、今回は1作目をご紹介しようと思う。

先に紹介した通り松田聖子「赤いスイートピー」「白いパラソル」の2曲と太田裕美「木綿のハンカチーフ」のカバーが収録されている。

ROMANCE|2020年

原田知世 トリビュート

角川映画「時をかける少女」で鮮烈なデビューを飾った原田知世は薬師丸ひろ子・渡辺典子と共に角川三姉妹と呼ばれていた。

角川の映画女優はいずれも「主演映画+主題歌」をセットで行う今で言うところのメディアミックス的な展開が通例となっていた。原田も例外ではなく「時をかける少女」をはじめ「愛情物語」「天国にいちばん近い島」といった映画と主題歌を発表し続けた。

'87年に角川を独立した後も女優業と歌手業をコンスタントにこなしていく。

ここまでコンスタントに音楽作品をリリースし続けていたアイドルは彼女と松田聖子だけではないだろうか。

'22年にデビュー40周年を記念したトリビュート・アルバムが発売された。

ToMoYo covers ~原田知世オフィシャル・カバー・アルバム|2022

カバーアルバム まとめ

カバーアルバムまとめ
  • 松田聖子が圧倒的に多くカバーされている
  • 中森明菜も多いが松田聖子に比べると選曲がバラけている
  • シンガーソングライターから提供された曲がカバーされる傾向が強い
  • 藤井隆のセンスがずば抜けている

上記のカバーアルバム(セルフカバー除く)から3作選ぶとするなら

個人的 TOP 3
  1. 後藤輝基|マカロワ
  2. 氣志團|Oneway Generation
  3. 吉井和哉|ヨシー・ファンクJr. ~此レガ原点!!~

新しい音楽と出会いたい方や古い時代のスタンダード・ナンバーを聴いてみたいという方の参考になれば幸いです。

(5段階評価は主観での評価なので、星が低い=駄作というわけではありません。あくまで自分の好みに合わなかったというだけなのでまずはご自分の耳で聴いて確かめることをおすすめします。)

0 件のコメント:

コメントを投稿